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クリニックの事業承継には、主に「親族内承継」と「第三者承継」の2つの選択肢があります。その中で「第三者承継」に関する情報はまだまだ限定的で、関係する行政の統計や報告書などもほとんどありません。ですので、参照となる公的な手引書などが整備されていないといえます。そのため、「第三者承継」を院長自身が独学で自力で行っていくことは非常に困難ですし、通常の診療と並行して進めていくのはほぼ不可能といえます。
そこで多くの場合は、第三者承継の相談先として外部の専門家(以下、事業承継アドバイザーと呼ぶ)を活用することになります。今回はその事業承継アドバイザーと契約する前に知っておきたいことについて、いくつかご紹介していきます。
まず最初に事業承継アドバイザーとの契約には2つの形態があります。それは「アドバイザリー方式」と「仲介方式」というものになります。
①アドバイザリー方式とは
譲り渡す院長と譲り受ける後継者の医師が、それぞれ別のアドバイザーと契約する方式となります。つまり両者に代理人が立つということになります。アドバイザーはそれぞれ依頼者のために仕事しますので、依頼者の意向をなるべく契約内容に反映させるべく交渉します。それ自体は非常によいことなのですが、あまりに度が過ぎると交渉が長引いてしまう恐れがあります。事業承継を成立させるためにはある程度の落としどころを探ることが重要となりますので、そのあたりのバランス感覚がありそうなアドバイザーを選ぶべきといえます。
②仲介方式とは
こちらは譲り渡す院長と譲り受ける後継者の医師が、同じアドバイザーと契約する方式となります。ですので、事業承継アドバイザーは双方のために中立的な仕事をします。双方の状況が見えるため交渉が円滑に進みやすいというメリットはあります。一方で、そのアドバイザーのさじ加減ですべてが動いてしまいますので、常に中立公平の立場を維持できるアドバイザーであることを見極めることが重要となってきます。
どちらの方式にもメリット・デメリットはあります。いずれの場合でも、事業承継アドバイザーを選ぶうえでは、そのアドバイザーの人柄や人格の部分も大切になってくるといえます。
第三者承継に関して、外部に相談する際は必ず秘密保持契約書を締結することを確認してください。多くの場合は、事業承継アドバイザーから秘密保持契約書の締結の提案があるかと思います。
事業承継アドバイザーに対して、クリニックの財務資料や診療実績などを書面や口頭で開示していくことになります。これらは機密性の高い情報になりますので、秘密情報の管理を徹底してもらうように、秘密保持契約書は必ず締結しましょう。
具体的に第三者承継の支援に入る場合には、事業承継アドバイザーと「業務委託契約書」を締結します。契約形態には、専任契約と非専任契約にわかれます。
専任契約とは、事業承継アドバザーを1事業者に限定する契約で、一方、非専任契約は複数の事業者に依頼する契約となります。それぞれの主なメリット・デメリットはつぎのとおりです。
①専任契約
メリット:情報のコントロールがしやすく、漏洩リスクが少ない。事業承継アドバイザーの責任の所在が明確である。
デメリット:1事業者に依存する形になり情報量が限られる可能性がある。結果、承継が長期化することもある。
②非専任契約
メリット:複数の事業者に依頼することで情報が多く集まる。結果として、より良い候補者とマッチングできる可能性が高まり、承継の期間を短縮できることもある。
デメリット:情報の漏洩リスクが高まる。事業承継アドバイザーの責任の所在が曖昧となる可能性がある。
いずれの場合も先程同様に、メリット・デメリットがあります。それぞれの事業承継を完了させたい時期までの期間や状況に応じて、選択することが望ましいといえます。
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