コラム

クリニック・診療所の事業承継(M&A)が増加傾向の背景にあるものは?

近年、クリニック・診療所の事業承継(M&A)は、ここ3~5年で増加傾向にあります。今回はその要因について考えてみたいと思います。

①医師の年齢構成と後継者不足

厚生労働省の調査によると、2018年12月31日時点のクリニック・診療所に従事する医師の総数は約10.4万人、平均年齢は60.0歳となっております。その中で70歳以上の医師数は約2.1万人、60歳以上を含めると約5.2万人に上ります。2002年時点での総数は約9万人、60歳以上の医師数は約3.8万人でしたので、この16年で総数は約1.4万人、60歳以上の医師数も同様に約1.4万人増加したことになり、高齢化が進んでいることがわかります。

クリニック・診療所の院長に定年はないと言われており、体力の続く限り現役として診療を継続することが可能です。一方で、引退したいけど地域の患者さんのことを考えると閉院もできず診療を続けている先生方も多いようです。

本来であれば、身近な親族等に後継者がいて、バトンタッチできるのが一番良いのですが、必ずしもそう言うケースばかりではありません。日医総研の2019年の「医業承継の現状と課題」のレポートによると、2017年時点で有床診療所の79.3%、無床診療所の89.3%、病院の68.4%が後継者不在と回答しています。ですので、第三者による事業継承(M&A)のケースが増えてきているといえます。

出典:平成30年(2018年)医師・歯科医師・薬剤師統計の概況

②新規開業におけるリスク回避傾向

また新規開業される医師の選択肢として、通常の新規開業ではなく継承開業が選ばれやすくなってきたことも、クリニック・診療所の事業承継(M&A)の増加要因の1つと考えられます。

これまでは、クリニック・診療所は他の業態と比べて開業すれば成功しやすい業態と言われていました。極端なことをいうと、あまり経営戦略などを練らなくても、ただ開業すれば、ある程度成功することができたのです。しかし近年は変わってきています。開業医市場は競争が激しくなり、開業から軌道にのるまで数年かかるといったケースもよく出てきています。また東京都内などの激戦区では、競合も多く、もう開業候補地がないといったことも往々にしてあります。

そういった開業リスクを考慮すると、開業当初から「一定の患者さんを引き継げる」「患者さんの顔を知った職員を雇用できる」「既に地域から認知されている」などのメリットがある継承開業を選ばれる先生が増えてきているといえます。

③先行きが不透明なことによる経営不安

譲り渡す、譲渡側の傾向もみていきましょう。前述のとおり今から数十年前は、現在のような必死の経営努力をしなくとも、ある程度の利益が出て経営も安定していました。しかし、近年は医療費の削減などという点から、2000年以降の診療報酬は右肩下がりとなっており、医療機関にとっては締め付けの厳しい改定が続いています。

このような状況下で、医療機関によっては、以前よりも収益が減少傾向であったり、経営状況が伸び悩んでいるところも多くあります。さらに今回は新型コロナウイルス感染症の影響などにより、「先行きが非常に不安」というところも珍しくありません。

そういった先が見えない状況下のため、アーリーリタイアやキャリアチェンジなどを、一定の患者さんがついているうちに、早めに決断する院長先生も増えてきています。

このような点も、クリニック・診療所の事業承継(M&A)のニーズが高まっている要因といえます。

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当社では無料相談を実施しております。クリニックの事業承継・M&Aを成功させるためには、早い段階でのご相談が有効です。その方が選択肢の幅がグッと広がり、スムーズな事業承継・M&Aが可能となります。ぜひお気軽にお問い合わせください。

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