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今回は個人クリニックを事業承継する際に、主に必要な行政手続きについてみていきたいと思います。また医療法人における承継とは手続きは異なりますので、ご注意ください。
個人クリニック・診療所を第三者に事業承継(事業譲渡)する場合、原則として譲渡者に帰属する許認可などの権利義務は、譲受者(後継者)には引き継がれないため、両者に手続きが必要となります。具体的に必要な行政手続きは以下のとおりです。
【譲り渡す側】
・診療所廃止届(保健所)
・保険医療機関廃止届(地方厚生局の都道府県事務所)
【譲り受ける側】
・事前相談(保健所・地方厚生局の都道府県事務所)
・診療所開設届(保健所)
・保険医療機関指定申請書(地方厚生局の都道府県事務所)
なお、診療所開設届、保険医療機関指定申請の手続きに関しては、いずれも事前に行政に相談しておくことが大切です。
医療機関が保険診療を行うためには、保険医療機関指定申請書を提出し指定を受ける必要があります。基本的には、後継者(譲受者)が診療所開設届出を提出した後に、その申請書を提出しますが、その指定がおりるまでに約2週間から1ヶ月程度の期間がかかります。
つまりこの間は、クリニックは保険診療ができないことになります。しかしそれではクリニック経営に与える影響が大きいので、保険医療機関指定申請書と同時に「遡及申請」を行うことになります。この遡及申請が認められれば、その開設日に遡って診療報酬の請求をすることができることになっています。
遡及申請が認められる理由は以下のとおりです。
①保険医療機関等の開設者が変更となった場合で、前開設者の変更と同時に引き続いて開設され、患者が引き続き診療を受けている場合
⇒ 例)親子承継・第三者継承 など
②保険医療機関等の開設者が個人から法人組織に、又は法人組織から個人に変更となった場合で、患者が引き続いて診療を受けている場合
⇒ 例)個人から法人(法人から個人)への組織変更 など
③保険医療機関が病院から診療所に、又は診療所から病院に組織変更となった場合で患者が引き続いて診療を受けている場合
⇒ 例)病院から有床診療所へ、有床診療所から病院へ など
④保険医療機関等が至近の距離(原則として2km以内)に移転し同日付けで新旧医療機関等を開設・廃止した場合で、患者が引き続いて診療を受けている場合
⇒ 例)至近距離の場所に移転(改築等による仮診療所へ)など
この遡及申請は、手続きを怠ると、保険診療ができなくなりますので、引継ぎ後のクリニック経営に大きな影響を与えることになります。また保険医療機関指定申請については遡及願いを必要としない県もあり、都道府県により対応が様々となっています。ですので、事前に所轄の地方厚生局の都道府県事務所に相談するなどして、慎重に進めていくことが大切といえるでしょう。
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